債権譲渡登記とは?取引先に見える情報・費用・2社間ファクタリングで留保される理由
債権譲渡登記の目的である第三者対抗要件、登記事項概要ファイルから誰に何が見えるのか、登録免許税と司法書士報酬、2社間ファクタリングで登記が留保される理由を法務省の一次情報に基づいて解説します。

【結論先出し】債権譲渡登記は、売掛債権の譲渡を取引先以外の第三者に主張するための制度です
登記をしても売掛先へ自動的に通知されるわけではないため、登記だけで取引先へ直ちに伝わるという説明は正確ではありません。
ただし、概要情報は誰でも請求できるため、取引先や金融機関などが自ら調べれば登記の存在を知る可能性があります。契約前には、登記するのか留保するのか、費用を誰が負担するのか、どの条件で後から登記・通知されるのかを確認しましょう。
債権譲渡登記とは、債権譲渡の第三者対抗要件を備える制度
債権譲渡登記とは、法人が金銭債権を譲渡した事実を登記し、債務者以外の第三者に対する対抗要件を備える制度です。ファクタリングでは、利用会社が保有する売掛債権をファクタリング会社へ売却するため、同じ債権をめぐる第三者との優劣を明確にする手段として利用されることがあります。制度の対象となる譲渡人は法人に限られます。法務省「第1 債権譲渡登記制度とは?」は、法人がする金銭債権の譲渡について、簡便に第三者対抗要件を備える制度だと説明しています。
ここでいう「対抗」とは、契約が成立したかどうかとは別に、その権利を特定の相手へ法律上主張できることです。債権譲渡登記をしただけで、売掛債権の存在や譲渡契約の有効性まで国が保証するわけではありません。この点も法務省の「債権譲渡登記制度の概要」で明示されています。
ファクタリングそのものの基本構造から確認したい方は、ファクタリングの仕組みもあわせてご覧ください。
第三者対抗要件と債務者対抗要件は別に考える
債権譲渡登記を理解するうえで最も重要なのは、「第三者に対する効力」と「売掛先に対する効力」を分けることです。民法467条は、原則として、譲渡人から債務者への通知または債務者の承諾がなければ、債権譲渡を債務者その他の第三者へ対抗できないと定めています。さらに、債務者以外の第三者へ対抗するには、確定日付のある証書による通知または承諾が必要です。
| 区分 | 主に問題となる相手 | 債権譲渡登記の効果 |
|---|---|---|
| 第三者対抗要件 | 二重譲受人、差押債権者、破産管財人など | 法人が登記すると、債務者へ通知しなくても第三者対抗要件を備えられる |
| 債務者対抗要件 | 売掛先(債務者) | 登記だけでは足りない。登記事項証明書を交付して通知するか、債務者の承諾が必要 |

法務省「債権譲渡登記Q&A」Q2・Q5も、登記により債務者を関与させず第三者対抗要件を備えられる一方、譲受人が売掛先へ支払いを請求するには別途、登記事項証明書を交付した通知または承諾が必要だと説明しています。つまり、登記と売掛先への通知は同じ手続ではありません。
債権譲渡登記の根拠は、動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の第4条です。同条1項により、法人が金銭の支払を目的とする債権を譲渡し、債権譲渡登記ファイルに譲渡の登記がされたときは、その債権の債務者以外の第三者については、民法467条の確定日付のある証書による通知があったものとみなされ、登記の日付が確定日付になります。売掛先(債務者)に対しては、同条2項により、譲渡人か譲受人が登記事項証明書を交付して通知をするか、売掛先が承諾をしたときに、はじめて同じ扱いになります。法務省のQ&Aは、それまでの間、売掛先は譲受人に対する支払を拒むことができ、従前の債権者(譲渡人)を債権者として取り扱えばよいと説明しています。登記をしたからといって、売掛先に譲渡を主張するための通知や承諾が要らなくなるわけではありません。
※出典:e-Gov法令検索「動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律」[5]/法務省「(債権譲渡登記)Q&A」[4]
登記事項概要ファイルで、誰に何が見えるのか
債権譲渡登記の公開範囲は、証明書の種類によって異なります。特に混同しやすいのが、「債権譲渡登記事項概要ファイル」に基づく概要記録事項証明書と、東京法務局の債権譲渡登記所が発行する登記事項概要証明書です。
| 確認手段 | 請求できる人 | 主に見える情報 | 見えない・制限される情報 |
|---|---|---|---|
| 概要記録事項証明書 (登記事項概要ファイルに基づく) |
誰でも請求可能 | 譲渡人の商号・本店、譲受人の氏名等、登記番号、登記年月日 | 債務者名など債権を特定する情報、登記原因とその日付、存続期間、債権総額 |
| 登記事項概要証明書 | 誰でも請求可能 | 上記に加え、登記原因とその日付、存続期間、債権総額など | 債務者名など個々の債権を特定する情報 |
| 登記事項証明書 | 登記当事者、個々の債権の債務者、その他の利害関係人などに限定 | 債務者名など個々の債権に関する登記事項 | 誰でも自由に請求できるものではない |

上表は、法務省の「証明書交付請求の手続」と「債権譲渡登記Q&A」Q28、動産・債権譲渡特例法11条・13条に基づく整理です。同法は、登記事項概要証明書と概要記録事項証明書は「何人も」交付を請求できるとし、登記事項証明書を請求できる者を、譲渡人又は譲受人、譲渡に係る債権の債務者その他の利害関係を有する者として政令で定めるもの、譲渡人の使用人に限っています。概要記録事項証明書は全国の商業登記所・不動産登記所で誰でも請求でき、その記録内容は登記情報提供サービスでも確認できます。
概要記録事項証明書の譲受人欄は、譲受人が複数いる場合に全員が記載されるとは限りません。また、概要情報だけでは、どの取引先に対するどの請求書が譲渡されたかまでは特定できません。詳細な登記事項証明書の請求者が制限されているのは、債務者のプライバシーや譲渡人の営業秘密・事業戦略に関わる情報が含まれるためです。
登記されても取引先への通知は自動ではない
債権譲渡登記をしても、登記所から売掛先へ自動的に連絡が届くわけではありません。売掛先が登記情報を閲覧せず、ファクタリング会社から通知も受けなければ、登記した事実を知らないままということはあり得ます。
一方で、登記の存在を完全に秘密にできるわけでもありません。取引先、金融機関、新たに債権を譲り受けようとする者などが、利用会社の商号を基に概要記録事項証明書を取得すれば、債権譲渡登記があることを把握できる可能性があります。法務省Q&AのQ24は、譲り受けようとする債権について先行する債権譲渡登記が存在しないことを調査する方法として、まず、その債権を譲渡しようとする法人に係る概要記録事項証明書の交付を請求し、登記の記録が存在する場合は、その法人に登記事項証明書の提示を求めて登記事項の内容を確認することなどを挙げています。

- 登記しただけ:売掛先への自動通知はない
- 売掛先が自ら概要情報を調査した:登記の存在を知る可能性がある
- 登記事項証明書を交付して通知した、または売掛先が承諾した:売掛先も債権譲渡を把握する
債権譲渡登記の費用は登録免許税と司法書士報酬を分けて見る
債権譲渡登記の費用は、国へ納める登録免許税と、司法書士へ依頼する場合の報酬を分けて確認します。証明書取得費、郵送費などの実費が加わる場合もあります。

| 費用項目 | 金額・決まり方 | 確認事項 |
|---|---|---|
| 債権譲渡登記の登録免許税 | 債権個数5,000個以下:1件7,500円 5,000個超:1件15,000円 |
通常の請求書1件だけを登記する場合は5,000個以下の区分 |
| 延長登記の登録免許税 | 1件3,000円 | 存続期間を延長する場合 |
| 抹消・一部抹消登記の登録免許税 | 1件1,000円 | 契約終了後などに抹消が必要な場合 |
| 司法書士報酬 | 公定額なし。各司法書士が定め、依頼者との合意で決定 | 申請データ作成、契約書確認、証明書取得、実費の範囲を見積書で確認 |
登録免許税額は、法務省「債権譲渡登記等 添付書面・登録免許税」に掲載されています。司法書士報酬については、日本司法書士会連合会「司法書士の報酬」が、各司法書士が自由に定め、額・算定方法・諸費用を明示したうえで依頼者との合意により決定すると説明しています。そのため、根拠なく「司法書士報酬は一律○万円」とは断定できません。
登記と通知は、契約の型によって使い分けられる
債権譲渡登記は、債務者以外の第三者との関係で、確定日付のある証書による通知があったものとみなされる制度で、売掛先への通知・承諾とどちらか一方しか使えないものではありません。契約の型によって、登記だけを使う、通知だけを使う、登記をしたうえで後から通知する、という使い分けがされます。
| 契約の型 | 第三者対抗要件 | 債務者対抗要件 | 売掛先が知る時点 |
|---|---|---|---|
| 2社間・登記あり | 債権譲渡登記 | 契約時点では備えない。回収に問題が生じたときに登記事項証明書を交付して通知する条項が置かれることがある | 通知が届いたとき(それまでは概要記録を自ら調べない限り知らない) |
| 2社間・登記留保 | 契約時点では備えない | 同上 | 同上 |
| 3社間 | 確定日付のある証書による通知または承諾 | 通知または承諾 | 契約の過程で知る |
2社間・登記ありの型で、利用会社が回収した代金を送金しなかった場合、ファクタリング会社が、契約の定めに従って登記事項証明書を売掛先へ交付して通知し、売掛先から直接回収しようとすることがあります。「登記しても売掛先には知られない」という説明は、契約が予定どおりに履行され、売掛先が自ら概要情報を調べない場合を前提にしたものです。契約書の中で、どの事由が生じたときに通知へ切り替わるかを確認してください。通知の法的な意味は債権譲渡通知とはで整理しています。
売掛先は、自分が債務者である債権の登記事項証明書を請求できる
登記事項証明書の請求者は限定されていますが、その中に「個々の債権の債務者」が含まれています。つまり売掛先は、概要記録で登記の存在を知ったうえで、自分が債務者になっている債権について登記事項証明書を請求し、譲渡の事実を確認できます。誰でも取れるわけではないものの、売掛先本人には取れる、という点は押さえておいてください。
2社間ファクタリングで債権譲渡登記が留保される理由
2社間ファクタリングは、利用会社とファクタリング会社の2社で契約し、原則として売掛先へ債権譲渡を通知しない形です。中小企業庁の検討会資料「4-1.ファクタリングの概要」も、2社間を「債務者へ非通知」、3社間を「債務者へ通知」と整理しています。両者の全体的な違いは、2社間・3社間ファクタリングの比較も参考にしてください。
2社間でも、ファクタリング会社は登記によって、二重譲渡の譲受人、差押債権者、破産管財人などへ自社の権利を主張しやすくなります。売掛先へ通知せず第三者対抗要件を備えられる点は、債権譲渡登記を利用する理由の一つです。
それでも、契約時点では登記申請をしない「登記留保」が選ばれることがあります。制度の仕組みから整理すると、考えられる理由は次の3点です。
- 取引先などが調査して登記を知る可能性を抑えるため:登記は自動通知ではないものの、概要情報は誰でも請求できます。
- 登録免許税・司法書士報酬などの費用を抑えるため:登記しなければ、その時点での登記申請費用は発生しません。ただし、別名目の費用があるかは契約確認が必要です。
- 案件ごとに第三者対抗要件を備える必要性を判断するため:登記をしない間は第三者との関係で法的な保全が弱くなり得るため、そのリスクを許容するかが判断点になります。具体的な判断基準は公的資料では未確認です。
登記留保は、債権譲渡契約をしていないという意味ではありません。また、留保中はファクタリング会社が第三者対抗要件をまだ備えていない場合があり、契約違反や回収上の問題が起きたときに登記や売掛先への通知へ切り替える条項が設けられることがあります。
留保中に利用会社が守るべきことは、売掛先から入金された代金を自社の資金と混ぜずに、契約で定められた期日までにファクタリング会社へ送金することです。入金を別の支払いに回してしまうと、契約違反として、契約の定めにより登記や売掛先への通知に切り替えられ、売掛先に譲渡の事実が伝わるおそれがあります。回収代金の送金期日を資金繰り表に支払いとして置いておくと、こうした事態を防ぎやすくなります。
登記の手続きの流れと、存続期間・抹消
債権譲渡登記の申請先は、全国で東京法務局の債権譲渡登記所の1か所です。窓口への持参・郵送のほか、オンライン申請も用意されています。申請には登記申請書と申請データのほか、譲渡人の代表者の印鑑証明書などの添付書面が必要で(代表者の資格などを証する法人の登記事項証明書は、添付を省略できる場合があります)、一覧は法務省「債権譲渡登記等 添付書面・登録免許税」に掲載されています。ファクタリングでは、譲受人であるファクタリング会社が司法書士に依頼して申請することがあり、利用会社は必要書類の提供を求められます。
法務省によると、債権譲渡登記を取り扱う登記所として東京法務局が指定され、全国の債権譲渡登記に関する事務を取り扱っています(担当は東京法務局民事行政部債権登録課)。登記の申請は、判決による場合を除き、譲渡人と譲受人が共同して行うこととされ、代理人による申請も認められています。提出方法には、登記申請書を窓口に持参するか郵送等で提出する書面方式、申請データをオンラインで提出する事前提供方式、登記申請書をオンラインで提出するオンライン方式の3つがあります。
添付書面のうち、譲渡人の代表者の印鑑証明書は作成後3か月以内のものに限られます。一方、登記された法人の代表者の資格や譲受人の住所を証する登記事項証明書は、商業・法人登記の登記中であるなど、登記官がその法人の登記情報を確認できない場合を除き、添付を省略できます。
※出典:法務省「第1 債権譲渡登記制度とは?」[1]/法務省「第2 登記申請の手続」[10]/法務省「(動産譲渡登記・債権譲渡登記等)法人の登記事項証明書の添付省略について」[11]

存続期間は、債務者が特定しているかで上限が変わる
債権譲渡登記には存続期間があります。動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律第8条第3項は、債権譲渡登記の存続期間について、譲渡に係る債権の債務者のすべてが特定している場合は50年、それ以外の場合は10年を超えることができないとしたうえで、「当該期間を超えて存続期間を定めるべき特別の事由がある場合は、この限りでない」と定めています。法務省の案内では、存続期間が登記の日から50年(債務者不特定の債権を含む場合は10年)を超えるときは、その存続期間を定めるべき特別の事由があることを証する書面を添付します。売掛先が決まっている通常のファクタリングでは前者に当たりますが、実際に何年で登記するかは契約ごとに異なります。存続期間を延ばす場合は延長登記(登録免許税1件3,000円)を申請します。
回収が終わっても、抹消しなければ概要記録に残る
売掛先からの入金が済み、ファクタリング会社が回収を終えても、登記は自動的には消えません。存続期間が満了すれば登記の効力は失われますが、それまでは概要記録事項証明書に譲渡人・譲受人・登記年月日が載り続けます。契約終了後に抹消登記(登録免許税1件1,000円)を申請するのか、申請するなら誰が費用を負担するのかは契約書で決まります。「登記は残っていても実害はない」という説明を受けることもありますが、次に述べるとおり、金融機関や取引先が概要記録を確認する可能性はあります。抹消の扱いは契約前に確認しておくべき項目です。
動産・債権譲渡特例法10条1項は、債権の譲渡が効力を生じないこと、債権の譲渡が取消し、解除その他の原因により効力を失ったこと、譲渡に係る債権が消滅したことを、譲渡人及び譲受人が抹消登記を申請できる事由として定めています。また、登記事項証明書の交付申請書の様式には、「閉鎖されていないファイル」とは別に「閉鎖されたファイル(抹消済又は存続期間が満了した登記)」を選ぶ欄があり、抹消や存続期間の満了によって登記の記録そのものが消えるわけではありません。
※出典:e-Gov法令検索「動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律」[5]/東京法務局「登記事項証明(債権譲渡)申請書」(法務省掲載の様式)[12]
金融機関の融資審査で、登記はどう見えるか
概要記録事項証明書は誰でも請求でき、その記録内容は登記情報提供サービスでも確認できます。金融機関が融資審査の過程で申込企業の商号を基に概要記録を確認すれば、債権譲渡登記の存在を把握できることになります。登記の存在が審査にどう影響するかは金融機関ごとの運用によるため(下の未確認事項を参照)、どの債権をなぜ譲渡したのかを説明できる状態にしておくと、審査の場で説明しやすくなります。
逆に、すでに売掛債権を担保に金融機関から融資を受けている場合、その債権について債権譲渡登記がされていることがあります。同じ債権を重ねてファクタリングに出すと二重譲渡の問題になるため、自社の債権に先行する登記がないかを、契約前に概要記録で確認しておくのが順序です。法務省Q&Aが案内する確認方法は前述のとおりです。
契約前に確認したい6つのポイント
- 契約時に登記するのか、登記を留保するのか
- 留保する場合、どの条件で後から登記されるのか
- どの条件で売掛先へ通知されるのか
- 登録免許税、司法書士報酬、証明書費用を誰が負担するのか
- 登記する場合、契約終了後の抹消時期と抹消費用を誰が負担するのか
- 見積書の手数料に登記関連費用が含まれているのか
「登記なし」と説明を受けた場合も、契約書に登記承諾条項や後日登記の条件がないかを確認します。口頭で説明された内容が契約書に書かれているかを確かめ、書かれていなければ書面で確認しておきましょう。債権譲渡登記は権利関係に影響するため、条項の意味が分からなければ契約前に弁護士や司法書士へ相談してください。ファクタリング契約全体の注意点は、ファクタリングのデメリットとリスクでも確認できます。
債権譲渡登記に関するよくある質問
債権譲渡登記をすると、売掛先へ自動的に通知されますか?
いいえ。登記と売掛先への通知は別の手続です。ただし、売掛先が自ら概要情報を調べれば、登記の存在を知る可能性があります。また、ファクタリング会社が登記事項証明書を交付して通知した場合は、売掛先も債権譲渡を把握します。
債権譲渡登記は誰でも閲覧できますか?
概要記録事項証明書と登記事項概要証明書は誰でも請求できます。一方、債務者名など個々の債権の詳細が載る登記事項証明書は、登記当事者、当該債権の債務者、その他の利害関係人などに請求者が限られます。
概要記録事項証明書から、どの取引先の売掛金か分かりますか?
通常、概要記録事項証明書には債務者名や譲渡された債権を特定する情報が載らないため、それだけでどの取引先の売掛金かを特定することはできません。ただし、譲渡人・譲受人や登記年月日などの概要情報は分かります。
個人事業主も債権譲渡登記を利用できますか?
譲渡人としてこの制度を利用できるのは法人に限られます。個人事業主が債権を譲渡する場合の対抗要件は、民法に基づく通知・承諾など、別の方法を検討する必要があります。
債権譲渡登記の費用はいくらですか?
債権個数5,000個以下なら登録免許税は1件7,500円、5,000個を超える場合は1件15,000円です。司法書士へ依頼する場合は、各司法書士が定める報酬と実費が加わります。ファクタリング契約では、誰が負担するかも確認してください。
2社間ファクタリングでは登記が必要ですか?
一律に必須とはいえません。登記するか、契約上は登記できる状態にして申請を留保するかは、ファクタリング会社の審査・契約によって異なります。公的な統一基準は未確認のため、見積もり時に登記の有無と後日登記の条件を確認しましょう。
債権譲渡登記はいつ消えますか?
回収が終わっても自動的には抹消されません。動産・債権譲渡特例法10条1項は、譲渡に係る債権が消滅したことなどを、譲渡人及び譲受人が抹消登記を申請できる事由として定めており、契約終了後に抹消登記(登録免許税は1件1,000円)を申請するかどうか、費用を誰が負担するかは契約で決まります。抹消するまでは概要記録事項証明書に登記の存在が載り続けます。なお、存続期間が満了すれば登記は効力を失いますが、登記事項証明書の交付申請書には「閉鎖されたファイル(抹消済又は存続期間が満了した登記)」を選ぶ欄があり、抹消や満了で記録そのものが消えるわけではありません。
まとめ|登記の有無だけでなく、公開範囲と後日通知の条件まで確認する
債権譲渡登記の中心的な役割は、法人による金銭債権の譲渡について第三者対抗要件を備えることです。登記だけで売掛先へ自動通知されるわけではありませんが、概要情報は誰でも請求できるため、閲覧されれば登記の存在を知られる可能性があります。
費用は、債権個数5,000個以下なら登録免許税1件7,500円に、司法書士報酬や実費を加えて考えます。2社間ファクタリングでは登記を留保できるケースもありますが、留保の条件や後日登記・通知へ切り替わる条件は契約ごとに異なります。契約前に書面で確認することが大切です。
参考資料・出典
法令・公的機関・業界団体
- 法務省「第1 債権譲渡登記制度とは?」(moj.go.jp)
- 「債権譲渡登記制度の概要」(moj.go.jp)
- 民法467条(laws.e-gov.go.jp)
- 法務省「債権譲渡登記Q&A」Q2・Q5(moj.go.jp)
- e-Gov法令検索「動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律」(laws.e-gov.go.jp)
- 「証明書交付請求の手続」(moj.go.jp)
- 「債権譲渡登記等 添付書面・登録免許税」(moj.go.jp)
- 日本司法書士会連合会「司法書士の報酬」(shiho-shoshi.or.jp)
- 「4-1.ファクタリングの概要」(chusho.meti.go.jp)
- 法務省「第2 登記申請の手続」(moj.go.jp)
- 法務省「(動産譲渡登記・債権譲渡登記等)法人の登記事項証明書の添付省略について」(moj.go.jp)
- 東京法務局「登記事項証明(債権譲渡)申請書」(法務省掲載の様式)(moj.go.jp)
本記事は上記の公的情報源を参照のうえ、法人ファクタリングの契約実務に沿って作成しています。執筆時点で社外の有資格者による監修は実施していません。法令・制度は改正される場合があるため、利用前に最新情報をご確認のうえ、個別具体の契約・対抗要件・登記申請については弁護士・司法書士等の専門家にご相談ください。

